第1章

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「どう、ですか、先輩、これが手ぶらってやつですか?」 頬を赤らめ、手ぶらこと、手をブラジャー見立てて胸を隠す後輩が言う。恥ずかしそうに、上擦った声で、傍目からはただ、胸を隠しただけなのに、制服なんて脱いでないのにとても、とてもエロかった。こういうのをエロカワイイと言うんだろう。 そして、僕は思いっきり頭を打ちつけ、重い頭を思いっきり机に打ちつけて謝った。ごめんなさいと、申し訳ございませんでしたと深々と頭を下げたのだった。 恥ずかしかったですよーと後輩がニコニコ笑いながら携帯の画面を眺める。僕の哀れな土下座を撮影した画面を眺める。 「なるほど、先輩の一味、違うところが見れましたね」 「やめてください、お願いだから」 罪悪感でいっぱいになって、もう涙で目がいっぱいになっていた。もういろんなところがいっぱいいっぱいになって洪水しそうだった。 「特別に許してあげましょう。先輩も目の保養になったでしょう?」 「保養になりすぎて、胸焼けしそうだ」 「いやん、先輩のエッチ」 「ごめんなさいね。こういう先輩でっ!!」 「いいですよ。人間がエッチなのは生物として当然のことなんですからね。アダムとイブだなんて、当初は真っ裸だったらしいじゃないですか。世界初の露出狂は彼らにあるんです」 「そういう穿った見方をやめようか」 「世の中にはヌーディズムという言葉がありますよ?」 「脱げってか? ここで脱げってか!?」 「学校で服を脱ぐのはいけませんよ。常識です」 「じゃあ、なぜ、そう言った」 「いえ、斬新な発想だと思いまして、みんなで裸になるんですよね。この国ではほとんど考えられませんよね」 「考えられないっていうか、日本人は服を脱いで出歩くってことがないからな」僕らの常識が海外の人達に驚かれるのは珍しくない。レジや電車で列を作るのは普通な光景だと思っていたけれど、そんなことはないのだ。 「そのわりには変な発想はピカイチですけどね。いろんな文化を吸収してはおかしなイベントに祭り上げてしまうんですから、将来的には鬼の格好をした女の子に豆をぶつける豆撒きゲームとかでてきそうですよね。鬼の女の子はほとんどが美少女って感じで」 「日本の節分を汚すなっ!! 認めるけれど、日本人ってそういうところあるけれど」 なのに人一倍、防犯意識や羞恥心には強いのだ。なんなんだ、この国。 
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