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時刻はもう夕暮れらしかった、窓からオレンジ色の光が漏れていた……これも後十分足らずで暗闇に変わるんだろうけどな
病室を見回すと、俺のを合わせてベッドが四つ、向かいのベッドには老いぼれジーさんが今にも逝きそうな顔で寝ていた
そのジーさんの左側、まあ窓側だな……そっちのベッドはカーテンで仕切られていて、寝ている人物は見えないが、寝息が聞こえてくるからきっと誰か寝てるんだろう
そうやって周りを見回していると、入り口のドアが開いて医者のおっさんが入ってきた
「やあ、目が覚めたかい」
「俺はどうしたんですか?」
「過労だよ。体のパーツが少しお釈迦になってるのさ。仕事を頑張るのも良いけれど、体も労ってやらないと君の体が可哀想だよ?」
どうやら風邪だと思っていたのは過労だったらしい、故障しようが職場に赴く俺、よくしつけられた企業の犬じゃないか
「君の上司には連絡を通して言っておいたから、大事をとって一月は入院しなさい」
そう言うと、医者はさっさと出てってしまった、きっと過労程度の患者に割く時間なんて無いんだろう
それよりも、と焦って自分のスマートフォンを探す
ポケットを探ったら服は患者用の変なものに変えられていたため見つからなかった
そこで備え付けの机の上を見ると、点滅しているスマートフォンを見つける
急いでメールを確認した、全部上司からだった
「どうした?」
「何かあったのか?」
「遅刻の理由を言え」
「無視か」
めんどくさい彼女みたいなメールだった
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