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そして最後に
「クビだ
お大事に」
上司の性格は最後までよくわからなかった
理不尽な理由で解雇されたな、と思った
でもそれは仕方の無いことだった
昔、日本の総理大臣が変わって、そいつがはた迷惑な改革をしてきやがった
『世界を追い越す日本を』
それからの国内企業の待遇は酷いもんだった
働けないやつは切り捨てる
出来ないやつは切り捨てる
怠けるやつも切り捨てる
お陰で国内のまともな会社はほとんどブラックになってしまった。ブラックどころじゃない、スーパーブラックだ
大昔の『月月火水木金金』だっけか?まさにあれ状態
だが俺は仕事ができた
まだ若いが大口の取引をいくつも成立させて会社に貢献してきた
が、その結果がこれだ
所詮、俺もただの歯車だったわけだ
(まだ錆びてねーけどな)
昔名前の変わった煙草を吸おうとして、病室は禁煙だったなと思い留まる
「寝るか」
どうせクビになったんだ、のんびりと寝ようとしたら俺の顔を急に覗きこんでくる人影があった
「新しい人?」
「おわっ!!」
久し振りに驚いたな
よく見ると、人影は10歳くらいの少女だった
肌が白くて手足が凄く細い、髪は真っ白で腰まで伸びていた
今の時代珍しいこった
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