ファン・ラン

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「どうしたの? そんな顔して。何かあった?」  いつからここにいた。時計を確認する暇もない。 「真優のことを考えてた」 「ほんとに?」 「ああ」  返事はしたけれど少し淡白だろうか。 「どこへ行こうか? たまにはコースを外れて知らない土地を走りたいんだけど」 「珍しいね。いつもマラソンコースの下見ドライブなのに」 「たまには良いだろ。真優が好きなところに行ってみたい」 「それじゃあ、箱根のコース走りたい。まだ、走ってないよね」 「カーナビに入ってる。じゃあ、行こうか? 明日は休みだよな?」 「もちろん。長谷川部長に無理やり有給申請してもらったから!」 「よし。箱根コース回ろう。俺も明日は休みだから」  結局、マラソンコースを走るピックアップトラックだけど。  これもひとつの思い出だ。  指輪とかサイズが解らないから、お返し、オルゴールにしたけれど喜んでくれるかな。後部座席のぬいぐるみに箱を紛らせておいた。オルゴールの曲は好きだって言ってた「ランナー」。渡すにしても雰囲気ってあるよな。いつ、渡そう。  他にもカクテルの名前とか調べて来たけど聞いた方が良いかも知れない。  箱根は宿が沢山があるし、真優が楽しんでくれるならそれで良い。
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