平和が大好きっす。

5/6
168人が本棚に入れています
本棚に追加
/25ページ
「カンベ、サッカー部の取材がそんなに嫌なのか?」 部長の言葉に、俺は正直に首を縦に振る。 「他の部員にも日の目を見るチャンスを与えてあげて下さい。俺は辞退しますから」 「だから、会議に参加しない部員なんて、取材やるわけないじゃん」 もっともな部長の言葉だが、俺だって出来ればやりたくない。 いや、むしろ絶対やりたくない。 サッカー部への密着なんて、またユズタケにいびられるに決まってるのに。 あの、鬼。 悪魔。 人でなし。 ていうかもう、人じゃないっすね。 「…………悪い顔なってるぞ、カンベ」 相変わらず呆れた顔のコタロー先輩は、さらにそこへ憐れみの感情を足した目で見て来る。 いや、あんたの彼氏のせいっしょ!! 「…………あ、じゃあカンベ。お前今度はバスケ部の密着行ったら?」 「え」 思わぬ言葉に一瞬目が点になったあと、俺は慌てて首を縦に振った。 「や、やや、やるっす!そうします、バスケ部ならいいっす!」 「お、おう……?わ、分かった」 かなり食い付き気味に言う俺に、部長は険しい顔をしながら俺から二メートルほど離れた。 やった。 サッカー部じゃなけりゃ、何部でもいい! やったぁ!! これでユズタケにいびられずに済む!!! ひゃっほい!!
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!