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バスケ部密着取材。
同じ一年の宗輔と組む事になった俺は、早速その日の放課後バスケ部がいる体育館に来ていた。
どうやら部長から話が通っていたらしく、キャプテンである仙道先輩がニコニコ笑顔で近付いて来る。
「ようこそ~。また密着?新聞人気あったの?」
気さくな雰囲気で話しかけてくれる仙道渉先輩は、背こそ小さいがめちゃくちゃバスケが上手いと有名だ。
そして、遅れて歩いて来た松嶋隼人先輩は、背も高いしガタイも良くて、何より超イケメン。
そりゃあ、こんな二人がいるバスケ部の密着なら、人気も出るってもんっしょ。
「はい、すごい人気でしたよ!また一週間よろしくお願いします!」
愛想の良い宗輔は、礼儀正しく頭を下げる。
俺もそれなりに頭を下げたあと、体育館をグルっと見渡した。
かなりの人数がいるバスケ部の練習を、一番良い位置で撮影出来る場所はどこだろう。
キョロキョロと目を動かしていると、ふと一人の部員と目が合ってしまう。
それなりに背が高くて体付きも良い、短めの眉とつり上がった目が気の強さを表しているように見える。
長めの髪を前髪の所で束ねていて、体型もごく普通な俺とは違い、ザ・男という感じだ。
とりあえずペコリと頭を下げると、向こうも軽く頭を下げてくれた。
一年かな。
それとも先輩かな。
まぁ、どっちでもいいか。
次の瞬間にはもうあの男の事は忘れ、仙道先輩の話に耳を傾けていた。
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