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バスケ部の練習は、思っていたよりもずっと厳しく激しいものだった。
さすが強豪というだけあって、練習量とその密度が半端ない。
俺だったら絶対、泣きながら逃げてるね。
自分がもしバスケ部に入った時のことを考えると、恐怖でブルっと身震いしてしまう。
そのぐらい濃い練習内容。
俺と宗輔は二手に別れ、練習の邪魔にならないように写真を撮る。
やっぱり躍動感のある人物を撮るのは楽しい。
どこに焦点を合わせるかで全く違った絵になるし、
その人それぞれの良い表情をおさめれた時の喜びは、他では味わえない。
とにかく夢中で撮っていた。
何枚も。
だから、気付かなかった。
ボールが飛んで来てるとか。
「ーーーーッ危ない!!」
「へ?」
振り返ったそこに、高速に回転して飛んで来る茶色いボールが見えて。
ぎゃ!
と思った瞬間にはもう、自分の体は床に吹っ飛んでいた。
痛い。
なんてもんじゃ、ないんですが。
ーーーーッ、
ぃっっっっっっっっってぇぇぇええ!!!
目の前がチカチカと光る中、歪む視界にある人物が入って来た。
「すまん!!大丈夫か、あんた!?」
聞きなれないイントネーションにハテナが浮かぶと同時に、少しずつ焦点が合い始める。
俺を抱きかかえている相手を見ながら、この男とさっき目が合った事を思い出した。
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