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「なあ……オレがいなくなったら、いくらでもいちゃつけんだろ。ちょっとは自制しろよ」
「あっ……ゴメン」
信は慌てて謝ってくるが、父にいたっては聞こえないふりをしている。
「じゃあ、だいたい片付いたし、飯でも食いに行こうか」
「うん、オレ焼き肉がいい」
オレの提案に年齢的にはおじさんであるふたりは軽いため息を吐く。そしてコソコソ声が聞こえてくる。
「……しばらく会えなくなっちゃうし、裕太の食べたいものでいいんじゃない?」
「でもこの時間に焼き肉食ったら、夕飯食べれなくなるぜ」
「じゃあ、俺たちはビビンバとか、クッパとか食べてればいいんだよ」
「ああーーもう、うっさい!」
だからいちゃつくのはオレがいなくなってからにしろとあれほど……。
「じゃ、裕太焼き肉行こうか」
「……いいの?」
「うん、好きなだけ食べていいよ」
やっぱり食べ盛り。好きなだけ、なんて言われてしまうとうれしくなってしまう。
「じゃ、早く行こうぜ!」
玄関を出ると、ちょうどドアの前に人がいたみたいで、ぶつかりそうになる。
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