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「ゆうきちゃん、これから裕太たっての希望で焼き肉に行くんだけど、一緒に行かない?」
「……いいんですか?」
「もちろんだよ、行こう」
「父さん!」
「裕太、金出すのは俺なんだから、いいだろ」
「…………はい。でもゆうき、服にニオイ付いちゃうぞ。大丈夫か?」
ゆうきはニッコリとして、大きながまぐちみたいなバッグをゴソゴソさせると、ファ〇リーズを取り出した。それは携帯用とかではなく、フルサイズのものだ。
「あ……それなら心配ないね」
結局四人で近所の焼肉屋に行った。
店に着いてからも、父と信はゆうきにいろいろと質問をして、それにゆうきがはにかみながら答える。
「同じ高校だったんだー」
「はい、一年と三年の時、同じクラスでした」
「ねえねえ、裕太って学校でもあんな感じなの?」
「あんな……感じ?」
「冷静って言うか、大人すぎっていうか……」
「たしかにしっかりしてますね。でもそれだけじゃなくて、やさしいし……明るくて、クラスのまとめ役でした」
「へーえ……」
せっかくの肉祭りなのに、なんだか変なことになっちゃったなあ……。
それでもたらふく肉を食べることができたので、最後はものすごい満足してしまった。オレって単純。
マンションの近くまで戻って来ると、ゆうきが涙ぐみながら近づいてくる。
「ひろくん……」
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