気持ち

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 もうすぐ12時になってしまう。  休憩時間俺はいそいそと財布を持って店を出ようとする。急がないと俺のシンデレラさん、道が上がる時間になってしまうからだ。 「信さん、どこか行くんですか?」 「えっ、ああコンビニに行くんだけど、野中なんかいる?」 「コンビニですか……いえ、大丈夫です。いってらっしゃい」  逸る気持ちを抑えて店をでた。ほんの少しの時間だけどこの時間が今は一番大切だ。  早く顔がみたい。コンビニに着き、飲み物とカップラーメンを持ってレジに行った。道はいつものようにレジにいる。 「こんばんは……」 「信くん、こんばんは。この間はシフォンケーキありがとう。おいしかったよ。ぴー太も喜んでた」  道は手早くスキャンすると袋に商品を詰めていく。 「いえ、よかったです。じゃ、また」 「ありがとうございました」  道がニコッとして袋を手渡してきた。  最近気付いたのだが、道は笑顔のとき途端に子供っぽい顔になる。それは普段の落ち着いた様子から想像できないくらいのギャップで、その顔を見ると胸をぎゅっとつかまれたようになる。初めて会ったときその顔に恋に落ちたのかもしれない。  いつもならもう少し粘って話をしていたはずだった。それこそくだらないことでも何でもいいから少しでもその時間を引き延ばそうとしていた。  でも今日はなんか違った。  揺るぎようのない自分の気持ちに気付いてしまったから苦しくなりその場を離れた。  ――道が好き。  そのことはもう俺の中で確信になっていた。一目惚れした瞬間から好きだった気もするし、道のことを知る度にじわじわ好きになってきた気もする。  顔を見れば嬉しいのに苦しい。こんな気持ちになったのは初めてだった。  俺は小さな決心をした。次に会ったときに気持ちを伝えよう。
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