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「なんか、予定外にこんなことになってしまって悪かったね」
「いえ、こちらこそごちそうさまでした……なんというか子供を育てるということは大変ですね」
率直な感想だった。
いつか道は大変だとは思わないと言っていたけれどやっぱりそれだけでは済まないことはたくさんあると思う。俺には予測もつかないことだろうけど、少しでも歩み寄りたかった。
「俺があんなこと言っちゃった後だから嫌かもしれませんけど、なにか大変なときは俺でよかったら力になりますよ」
はじかれたように道が振り向いた。そんなに驚くことを言ったつもりもないのに。
「あっ、もちろん無理にとはいいません。ただ、俺なんてフリーターでふらふらしてるし、もし困ったことがあってちょっとでも俺のこと思い出してくれたら、遠慮せずにこき使ってください」
ちょうど、片付けも終わったので俺は部屋をでた。後ろでちいさくありがとうという声が聞こえて、それだけで充分だった。
夜からはまたバイトに行かなくてはいけないので、仮眠を取る前にシャワーを浴びたかった。
シャワーを頭からかぶり、水が温まってお湯になるころには堪えていた涙がぼろぼろこぼれてくる。受け入れてもらえるなんてこれっぽっちも思ってはいなかったけど、悲しくなるのだけはどうしようもなかった。
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