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「そう……ですよね。でも今すぐじゃないですよね。」
「悲しいけど、まったくそうだね」
「そっか。じゃあバイトすぐ辞めるとかじゃないですよね。……よかった」
「野中?」
「あー、なんかお腹空きませんか? メシ行きましょ」
駅の近くまで行き、ラーメンを食べた後にカラオケに行った。
道に振られたときは納得の失恋だから気にしてないつもりだったけど、こうやって久々に楽しく過ごすとやっぱりどこか塞ぎ込んでたなと実感した。
カラオケを終えるとバイトの時間も近いのでそのまま店に行くと広田がからかってきた。
「なんだよ、フムフムのモテモテツートップが仲良く同伴出勤? 木山、しかもイメチェン?」
「は? モテモテは野中のワントップだろ」
「何言ってるんだよ、お前が真面目に働くようになった位から店が忙しくなったじゃん。増えてるの、女の客ばっかだよ。「あの濡れた瞳がたまらない」とかいわれてんの知らないの?」
「全然知らない……」
「はあ、その余裕がうらやましいね。俺ならすぐ気付いて食っちゃうけどな。だからな、もともとのワントップはお前だったわけ。それで野中登場でフムフムは安定の上位キープな。信てほんと鈍いな。いろんな意味で」
「何いってるんだよ、さあ仕事仕事」
俺はさっさと着替えて控え室を出た。
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