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「俺もう今日は上がったんで、道さんの仕事が終わるまで、俺がぴー太を見てましょうか」
「何言ってるんだ。いいよ、そんなの」
「そうっすよね。やっぱり俺なんかに家に来て欲しくないだろうし、借りも作りたくないですよね」
「そうじゃない。ただ、帰りは朝になるだろうし悪いから」
レジに並びそうな人が来たから、俺は一度後ろへ下がった。やっぱり俺、道さんの力になりたいよ。ぴー太も心配だ。客が途切れてから再度俺は道さんのそばへ行った。
「朝になるならなおさらですよ。別に恩をきせたい訳じゃない。ぴー太が心配なだけなんだ」
「そうか……ありがとう」
多分ぴー太の状態があまり落ち着いてなかったんだろう。道は思ったよりは素直に俺に鍵を預けてきた。
「道、わかる?」
「まかしてください。一度行った場所はわすれませんから」
本当は道の家だから、忘れるわけがない。
「何か持っていってあげたいんだけど。必要なものありますか?」
「そばにいてもらえるだけで大丈夫だ。あっでもちょっと待って」
そういうとデザートコーナーでフルーツの入ったゼリーをレジに通して、俺に渡してきた。
「もし目を覚まして食べたがったら、あげてくれるか」
「わかりました」
「じゃあ、もうしわけないが頼んだよ」
店をでると俺はすぐに道の家に向かった。自転車だったらほんの10分もかからないで着くだろう。
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