まさに一目惚れ

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「わっ、やっちゃった……」  床に散らばったチョコレートの箱を慌てて拾い集めようとすると先程の店員が来た。拾おうとする俺を制止する。 「す、すいません……」 「いえ、こちらこそ商品詰めすぎだったようです。びっくりさせてすみませんでした」  耳を澄まさなくても自然に耳に入り込んくる、低目のしっかりした声。  そういってニコッと笑うと、手際よくチョコレートをカゴに入れると並べはじめた。  先程レジで見たときよりもずっと近くて息の仕方を忘れそうだった。格好いい……心臓がドキドキした。  昔からそうだ。どんなかわいい女の子を見てもときめいたりドキドキしたりしないのに、好みの男性を見ると、ドキドキする。中でも今日のは史上最高のドキドキだった。
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