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「えっ」
「お前さ……なんで……なんで俺の心を掻き乱すんだよ。誰も好きにならないって決めてたのに。いつも俺の前に現れて、まっすぐぶつかってきて……俺を好きだって言うんだよ」
道は目を見開いたまま動けないでいる俺の頬を両手で挟んだ。
「そんな濡れた目で俺を見るな」
睨むように俺を見て後頭部を手繰り寄せ唇を重ねてきた。その途端心臓をぎゅっと直に鷲掴みされたみたいに苦しくなる。
ただただ驚いて道をみつめることしか出来ない。道はまだ額が付きそうなくらい顔を近づけたままで俺を見つめた。
切れ長の瞳の奥が少し揺れて、また唇が近づいてくる。あんなに遠かった人が、今こんなにそばにいる。
「風邪……うつっちゃいますよ」
「うるさい。そんなのどうでもいい」
俺の顔を怒ったように見ている。心の奥に燃える炎のようにゆらゆら揺れる瞳に魅入られていると、さっきよりも激しく唇を吸い上げられた。
切ないで死ねるなら俺は今完全に死んだと思う。
ドキドキしすぎて切ないのメーターはもうとっくに振り切っちゃって、ふてぶてしい気分になってきた。
道さん、その目線エロすぎてやばいっす。俺、昇天しちゃいます。
――本当にそのまま気が遠くなっていった。
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