それでも変わらない

6/6
前へ
/109ページ
次へ
 気が付くと、車はまた走っていた。辺りは薄暗くなって街頭が次々と後ろに飛んでいく。 「目、覚めたか」 「あっ、はい。俺寝ちゃってましたか」 「寝ちゃったというか、な」  「しーんくん」  そうか、俺あのまま意識がなくなっちゃって……道さん、さすがにちょっと恥ずかしそう。  ん? しーんくんって。余韻に浸ろうとしてたのに、超現実的な声が。 「えっ、ぴー太?」 「悪い。目を覚まさなそうだったから、そのまま車を借りてぴー太を迎えに行ったんだ。今、お前の家に向かっているところだから」 「ねぇ、しんくんお風邪引いてるの? 大丈夫?」 「うん、でももう大丈夫だよ」  もう少しキスの余韻に浸りたかったけど、かわいいぴー太に予期せず会えたからいいか。 「ぴー太くんは風邪治ったか?」 「うん。げんき」 「そっか。じゃ、俺の風邪が治ったらまた遊ぼうな」 「ほんと。やったー。やくそくだよ」  それから、道は俺をうちまで送ってくれて、散歩のような物だから気にするなと言ってぴー太と歩いて帰っていった。
/109ページ

最初のコメントを投稿しよう!

413人が本棚に入れています
本棚に追加