413人が本棚に入れています
本棚に追加
気が付くと、車はまた走っていた。辺りは薄暗くなって街頭が次々と後ろに飛んでいく。
「目、覚めたか」
「あっ、はい。俺寝ちゃってましたか」
「寝ちゃったというか、な」
「しーんくん」
そうか、俺あのまま意識がなくなっちゃって……道さん、さすがにちょっと恥ずかしそう。
ん? しーんくんって。余韻に浸ろうとしてたのに、超現実的な声が。
「えっ、ぴー太?」
「悪い。目を覚まさなそうだったから、そのまま車を借りてぴー太を迎えに行ったんだ。今、お前の家に向かっているところだから」
「ねぇ、しんくんお風邪引いてるの? 大丈夫?」
「うん、でももう大丈夫だよ」
もう少しキスの余韻に浸りたかったけど、かわいいぴー太に予期せず会えたからいいか。
「ぴー太くんは風邪治ったか?」
「うん。げんき」
「そっか。じゃ、俺の風邪が治ったらまた遊ぼうな」
「ほんと。やったー。やくそくだよ」
それから、道は俺をうちまで送ってくれて、散歩のような物だから気にするなと言ってぴー太と歩いて帰っていった。
最初のコメントを投稿しよう!