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「そういえば。今日、用事ないって言ってたよな。」
先ほどの道の告白に夢見心地になり、ふわふわとした気分に浸っていると、ふと道が聞いてきた。
「実は今日これから、元嫁と会うんだ」
「もと、嫁って……、奥さん、生きてるんですか?」
「勝手に殺すなよ」
「いやぁ、てっきり死別したのかと思っていました」
「なんでそうなるんだよ。……とにかく、話をする間だけでいいんだけど」
もう道の頼みごとは慣れたもんだ。
「大丈夫ですよ。ぴー太は俺が見てますから、安心して行って下さい」
頼られることがうれしい。本当はいろいろ聞きたかったりするけど、それは全部飲み込む。
「じゃあ、あとでぴー太を連れて伺いますから、いってらっしゃい」
精一杯の笑顔で道を見送った。
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