危機

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 フムフム営業再開の日。  店長はもう少し休んででもいいと言ってくれたけど、休んだからって何か変わるわけではないし、これ以上休むと自分自身が復帰するのをためらいそうで通常通り出勤させてもらいたいと伝えた。  結果双方の意見を汲んで、しばらくはバイトの時間を短縮し二十四時上がりということで落ち着いた。  二日ぶりにバイトの面々が揃うと、みんな一通りお見舞いの言葉をくれて、そしてやっぱり道のことを聞かれた。  俺は打ち合わせたとおりの道の設定をその度に話した。ある女の子だけは冗談ぽく「なんだ、恋人かと思ってたよ」って言ってきたからどきっとしたけれど、肯定も否定もしなかったらそれ以上は詮索されなかった。野中には直接お礼を言いたかったけど、今日のシフトはもともと休みだ。  あんな事件があった後なので店内はガラガラかと思ったのに結構な混み具合だった。この辺りは夜に営業しているような店はないし、事件も未遂だからあんまり関係ないのだろう。  しかし中には興味本位で来店し、怪我人が出たわけじゃなしいいじゃないかと店員にいろいろ尋ねる客もいて不快だった。
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