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就職が決まり、バイトを辞めたい意向を店長に告げた。就職活動を始めたときから店長には話をしてあったので、残念がってはくれたけど実質いつ辞めるかの日程を決めるだけだった。
「また遊びに来いよー」
広田も寂しそうだ。思えばここでバイトを始めた頃は自分がこんな前向きな気持ちで店を去る日が来るなんて想像できなかった。
「信さん、ここ辞めちゃうんですか?」
控え室でひとり着替えていると野中が声をかけてきた。
「うん、就職が決まったんだ」
「それは……おめでとうございます……ここは、いつまでになるんですか?」
「今月いっぱい、かな」
「あの、明日とかバイトの前メシいきませんか?」
「唐突だねえ、まあいいけど」
そういうと野中は俺よりもすばやく着替えて出て行ってしまった。
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