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次の日、待ち合わせの場所に少し早めに着くと野中はもう来ていた。
「信さん、こんばんは」
「こんばんは。野中早いねえ」
野中は俺に紙袋を差し出してくる。中にはコーヒーとサンドイッチが入っていた。
「信さん、俺メシ行こうって言ったんですけど、買ってきちゃいました。公園で食べませんか?」
「う、うん。ありがとう。おしゃれサンドイッチだね。野中がそうしたいならいいよ」
公園に着いてベンチに座っても野中はサンドイッチを食べようとしなかった。黙って座っている。
俺はもちろん野中とメシを食うつもりでいたので空腹だ。
「野中、サンドイッチ食べてもいい?」
「えっ、あ、すみません。どうぞ食べてください。」
サンドイッチにかぶりつきながら普段とは違う野中の様子をうかがう。
「野中、どうしたの?なんか変だよ」
「信さん」
「うん?」
「俺、信さんのことが好きです」
野中が俺をまっすぐみつめてそう言った。驚いて、声にならない。
「バイトに入ったときからずっと好きでした。驚きましたか?」
「えっ、う、ん驚いたよ。野中っていつも女の子にキャーキャー言われてるし、俺その……男だし、いろいろびっくり……した」
「でも道ノ下さんも男ですよね」
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