一目惚れの彼は

仕事開始

　まずは化粧品の基礎知識を完璧に覚えるように言われ事務のさっちゃんが以前まとめたというファイルを借りて勉強を始めた。
　今日は田中さんがいないので一日勉強にあてられる。さっちゃんがコーヒーを入れてくれた。

「どう、はかどってる？　まあこれは基礎中の基礎しかまとめてないけど、これをベースに応用を利かせられるようにまとめてあるからがんばってね」
「ありがとうございます。いただきます。さっちゃんのまとめファイルすごいですね。俺でもわかりやすいです」

　さっちゃんは吹田早苗さんという名前で４７歳、成人済みの子供を持つ女性だ。しかし吹田さんと呼ぼうものならものすごい形相でにらまれるので仕方なく新入りの俺もさっちゃんと呼んでいる。
　社長をはじめ本当にここの会社はキャラが立っている人が多い。というかそれしかいない。