魔法の手

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  「一一一一で、今度は何やったの」 夕暮れが迫る保健室。そこで腕組みして立つ俺は多分、おっかない顔をしている。 「えと……オーブンのて、天板に触って、ヤケド、しました……」 それに身を縮こませてボソボソと答える彼女一一佐々木 毬花(ささき まりか)一一は、保健委員としての俺の相棒。 生まれ持った星の巡りか、はたまた他の理由か、佐々木はよく怪我をする。保健委員が保健室の常連とか、笑えない話だろ。 「まあまあ笹井(ささい)くん、もうその位で勘弁してあげたら」 黙って火傷を診ていた保健の先生がそのタイミングでやんわりと執り成し、うん、と頷いた。 「思ったより酷くないみたいね。これなら痕も残らないでしょ」 でも、あまり痛むようなら必ず病院に行きなさいね、ときっちり言い含める。 「じゃあ、笹井くん。先生これから会議だから。後、お願いねー」 そう言って慌ただしく出て行った先生と入れ替わりで、佐々木の前に座った。
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