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5年前。
小さなアパレルメーカーに勤めていた私の会社に、中途採用されたのが当時28歳の和樹だった。
私は、デザインを担当していたのだが、彼は営業として入社した。
服のデザインをするにあたって、マーケットの意見を吸い上げるのに、営業とは何かと接点が多い。
彼は遅くまで私に付き合ってくれたり、愚痴や相談も乗ってくれた。
そんなある日の夜、会社でマーケティングの話をしていると、和樹が“付き合ってほしい”と切り出したんだっけ。
私は、“どこに?”と普通に答えると、
「いや、そうじゃなくて、俺と付き合ってください」
って言い直した。
彼の告白に“どこに?”なんて、答えてしまった事にすごく恥ずかしかった。
実は、私も彼を意識していたんだ。
もう、恥ずかしくて、真っ赤になりながら“いいよ”って答えたことは今でも覚えている。
と言うか、その時のことを彼が今でも馬鹿にしてくるから、覚えてるんだけど・・・
それからは、幸せな日々だった。
仕事も順調で、望むものは何でも手に入る気がしていた。
しかし・・・
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