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2年前、背中に痛みが走る様になった。
最初は、座りっぱなしの仕事が原因なのかと思い、適度に散歩したり、マッサージに通ったりもした。
しかし、一向に痛みが引かない。
和樹とのデートにも痛みを引きずる状態だった。
整形外科にも行ってみたが、骨や筋肉に何の異常もなかった。
何度か痛み止めを貰いに通ったのだが、ある日、そこの先生に“紹介状を書くから内科で精密検査をした方がいい”と言われ、私は、半ば半信半疑で内科に行った。
内科で精密検査を終えた私に、先生は“明日ご両親と来てください”とだけ伝えて返された。
そして翌日。
両親と共に病院へ行った私たちだったが、私だけを残して、両親と先生で面談した。
私は、嫌な予感しかしなかった。
良くあるパターンだと・・・
戻って来た両親の顔を見れば一目瞭然だった。
母の瞳は赤く染まり、泣き腫らした跡まで見える。
父は口を一文字につぐみ、瞳はキラキラと輝いていた。今にも涙が零れそうだった。
私は、両親より先に口を開く。
「癌・・・なんでしょ?」
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