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私は、母や父だけでなく、和樹にも罵声を浴びせていた。
泣かない日は無かった・・・
それでも和樹はやってくる。
どんなに詰(なじ)っても、罵声を浴びせても、いつも優しい顔だった。
「どうして・・・どうして毎日来るのよ・・・
私、もうすぐ死ぬのよ・・・」
泣いて喚いて疲れ切った私は、和樹に問いかけたことがった。
『どうしてって・・・困ったなぁ・・・
好きな人に振り向いてもらいたいからに決まってるじゃないか。
俺の恋を片思いのまま終わらせたくないんだ』
衝撃が走った。
私は、泣き疲れて、もうこれ以上涙なんか出ないと思っていたのに、和樹の言葉で、大粒の涙を零していた。
“ありがとう”私は声にしたかったのだが、嗚咽で声にならない・・・
心配した彼の手が、私の肩に触れた途端、私は彼を抱きしめて、胸に顔を押し付けたまま泣きじゃくった。
数分後、息の整い始めた私が顔を上げると、彼のシャツはびしょびしょに濡れていた。
彼を見上げると、困った顔ではなく、にこにこしていたのが印象的だった。
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