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『明日、また来るよ』
和樹は、濡れて色が変わってしまったシャツの前側を隠そうともせずに、病室を後にした。
翌日、私は和樹に謝った。
濡らしたシャツの事ではない。
今までの暴言や当り散らした事を・・・
そして、
「和樹、あなたを愛してる」
“愛してる”なんて、始めて言ったかもしれない。かなり恥ずかしかったが、今しか言えないと思ったんだ。
言った直後は、もう頭から湯気が出てるんじゃないかと思うほど、顔中が熱かった。
『ありがとう。やっと両想いになれた』
和樹は、ベッドに座っていた私を抱いて、呟いた。
その瞬間、私は体の中に溜まっていた、何か黒いものがスッと無くなって行く気がした。
そして、代わりに入って来るものもあった。
“生きたい”と言う感情。
私の気持ちは物凄く穏やかだったが、何故か涙を流していたらしい。
和樹が頬を拭ってくれたことを覚えている。
それからの私は、前向きだった。
和樹が話してくれる言葉を忘れまいと、日記も付け始めた。
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