4人が本棚に入れています
本棚に追加
『・・・江。ねぇ、咲江ってば!』
お母さんの呼びかけに、ハッとして我に返った。
『どうしたの?咲江。ぼうっとして。
湯煎、煮立っちゃうわよ』
「え?・・・あっ!本当だ!」
私は、すぐにコンロの火を止める。
「ごめん、お母さん。ちょっと考え事してて・・・
ついでに、このアーモンドの袋開けてくれない?
私の力じゃ開けられなくて」
母は、私の傍に来てシンクの横に置いてあるアーモンドの入っている袋を開ける。
そして、小皿に20粒ほど出してくれた。
『アーモンドは和樹君の好物?喜んでくれるといいわね。
じゃぁ、邪魔しちゃ悪いから、そこのテーブルに座ってるわね』
母が、シンクの向こう側にあるテーブルに腰を下ろした。
私は“ありがとう”と言って、アルミホイルを広げ、ハート形の型を5個並べる。
湯煎した小さな片手鍋を持ち上げるが、今の私には、これが結構きつい。
落とさないように、必死だった。
最初のコメントを投稿しよう!