section 1

7/15
前へ
/30ページ
次へ
また、沈黙が流れる。 とりあえず、引っ張った腕は離した。 気まずい。 何か……何か話題を……。 そうだ! 「なぁ、お前なんで泣いてたんだ?」 「え?」 「え?いや、完璧超人様が泣いてるとは思わず……」 「完璧超人……様?」 しまった……。 本人目の前にして「完璧超人」様はマズイだろ。 「え?あ、いや、文武両道で容姿端麗で?……えーと、なんて言うかさ凄いね?……みたいな」 何を言ってる俺!!誤魔化しきれてないというより、誤魔化す気もないな。 ほら、キョトンとした顔で俺を見てるもん!! 「そう。僕は陰でそう呼ばれてるのか」 「いや、その……はい」 また、沈黙が流れる。 俺は罪悪感でいっぱいだ。 だが、今度は彼が先に口を開いた。 「完璧超人じゃ、ないよ」
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加