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それは、勇人からも一矢からも、感じられる事の出来なかったもの。そしていつしか、私の中での恋愛の基準となっていた。
私を抱きしめ、この感覚を与えてくれる人。
今のところ私の周りで、それを与えてくれるのはマスターだけ。
もしもそんな人が、マスターの他に現れたとしたとする。私は、その人に恋をするのだろうか。それとも、この感覚はマスターからだけのもの?
もしもそうなら、私は一生片思いをして生きていくのだろうか。
「いやぁ、二人は本当にお似合いだね」
ふと、岡田さんの声が耳に入ってきた。
そして、その話し相手にされてしまってる、カップルの事が気になる。
寄り添うように並んで座る二人は、彼氏の方が年上だと思う。ただ、大きな年齢差があるようには見えなかった。
私とマスターに当てはめるには、ちょっとって感じがした。
目の前のカップルだけじゃない。
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