Page.1*日課

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それに対しては今でも疑問は抱かないけど、いい加減高校生の私を見て欲しい。 「世良優梨愛です、よろしくね」 「優梨愛ー」 「おはよー」 「あ、おはよ」 今度は、私が聞き覚えのない声。男の子の。 「ちょっと清尾来て!」 「なに? って、痛い痛い!」 優梨愛ちゃんからグイッと腕を引っ張られた彼は、物珍しそうに私を見ていた。 茶色っぽい瞳が、私の瞳の中で揺れている。 わぁ。カッコイイなぁ。 スッキリとした髪型が、彼の小顔をよく引き立てていて、少しだけ緩く着崩した制服も、よく似合ってる。 春輝と比べたらそれほど差はないように見える身長も、きっとちびな私からすれば巨人並みなんだろうな。 ・・・そ、それにしても・・・・・・ 初対面でまじまじと見つめられると、誰であろうと緊張する。 私、男の子は少しだけ苦手なんだけど・・・ 「俺、清尾康成(せお こうせい)」 優梨愛ちゃんに助けを求めようとした時、彼の方から自己紹介をしてくれた。 去年まで一緒にいた男子とは、少し違った感じがして、初めて会った気がしなかった。 「首藤 奈緒です」 「じゃ、これから宜しくね。奈緒ちゃん」 「・・・」 ん?私のこと名前で呼んだ? 今まで、初対面の人や男子からは苗字で呼ばれることが多かったから、なんだか新鮮な気分。 親近感が持てて、ちょっとだけ、嬉しいな。 「よろしくね!清尾くん!」
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