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清尾くんは、ゆったりと優しい笑顔を私に向けると、今度は春輝と自己紹介をした。
2人はすっかり意気投合したようで、担任が来るまで話し込んでいた。
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昼休み。
もちろん、私は優梨愛ちゃんとお弁当を食べている。
「ご飯食べてる時に言うのもあれかなって思ったんだけど・・・」
少し言いにくそうに、彼女は話を切り出した。
「?」
「私ね、中学の時ね・・・」
「うん」
「・・・いじめられてたの」
下を向いて、そう告白した。
こんな時に、嬉しいと思ってしまうなんて、不謹慎極まりない。
「・・・言ってくれて、ありがとう」
「・・・」
「もう、一人じゃないよ」
「え?」
「今は、私がいる」
「・・・うん。・・・奈緒、ありがとう」
優梨愛と、ぱっちり目が合った。
表面に涙を浮かばせた彼女は、優しく微笑んでくれた。
それと同時に、中学の時のことが一気にフラッシュバックした。
―――――信じてたのに。
その言葉をふりきるように、私は優梨愛に笑い返した。
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