Page.1*日課

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そして放課後。 5時に近くなる時間帯になると、すれ違っていく人の数や帰宅途中の車の台数も増えていく。 時折、大きなクラクションが鳴ったり、昼間よりも忙しそうに色を変える信号は、都会が夕日に包み込まれるのを感じる。 田舎者は、こんな光景をそうそう見られるものじゃないから、物珍しくて仕方ない。 そういえば、中学の先生がこんなことを言っていたような・・・ 『都会に出たら上を見上げるなよ』 『なんでですか?』 『田舎もんってバレるから』 私たちの町には高校はなく、中学を卒業すると同時に都会の高校へ進学する人や、進学先の寮に入る人が少なくなかった。 私と春輝も、その一人。 「世良さんのこと、大事にしろよ」 「えぇっ!!!」 周りの都会の景色を満喫していた時に、ボソッと放たれた春輝のその言葉に、私は驚きを隠せなかった。 いつもは「んー」とか「へー」とか、曖昧な相づちしか打たないのに。 歩いている時にこんなことを言ってくるなんて、珍しいこともあるものだ。 「昼休みの話、聞こえてた?」 「うーん、まぁ」 「そっか」 「うん」 「大事にな」 「分かってる」 他人に興味がなさそうに見えて、意外ときちんと見てくれている優しさも、昔から変わっていない。 太陽に照らされた様にぽかぽかと温かくて、ビー玉みたいに透明な優しさが、きっと優梨愛のもとに届きますように。 ***** 電車に揺られること二十分。 私たちの降りる駅が近づいてきた。 少しずつ、景色が変わっていく。 ビルが建ち並び、排気ガスの臭いがする都会の景色から、田んぼや野原が広がる田舎の景色へと早変わり。
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