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春輝に、当たっちゃった。
あんなに優しくしてくれたのに...
こんなことをしてしまう自分が情けなくて仕方がなかった。
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学校に来れば、授業もあるし優梨愛とも話せるので、少しは楽になると思った。
でも、そう上手くは行ってくれなかった。
痛みは増していく一方。
特に、6限の英語。
テストを受けているのに、全然集中出来ない。
ーーーー60点を下回った人は、再試とか言ってたっけ...
身体はダルいし、再試は嫌だし・・・
いろいろな感情が混ざり合って、涙が頬を伝い始める。
ぽたぽた落ちていく滴は、解答用紙の色までも変え始め、とても解答を書けそうにもない。
そんなとき。
ぽんっと、右隣の席から何かが飛んできた。
―――――カイロ。
温かいなぁ・・・
私が感じたのは、多分カイロの温かさとは、別のもの。
少し、痛みが和らいだ気がする。
春輝は、優しすぎる。
今朝、あんなにひどいことを言ったのに。
口をパクパクしながら、『ありがとう』を言って、涙でぬれた解答用紙とにらめっこを始めた。
放課後。
案の定、私はテストで赤点を取ってしまい、今は補習プリントと向き合い中。
再試は明日。
目の前には春輝がいて、さっきから教えてもらっている。
「なーお、聞いてる?」
痛みも朝よりは和らいでいた。
「あ、ごめん。もう一回お願いします」
「それもう五回目。いい?関係代名詞っていうのは・・・」
100点という素晴らしい点数を取った春輝は、教えるのもとても上手。
中学の時の先生より、ずっと分かりやすい。
「じゃあ、『先生は子どもたちがグラウンドで走るのを見ていた』これは?」
「うーんと・・・」
ありがたいことに、これは並べ替える問題。
関係代名詞は、その人物や物などの補足説明を行う役割を果たすから...
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