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清尾くんは顔を赤くしていたけど。
そんな賑やかな朝が過ぎ、放課後。
「バイバイ」
「今からどっか行く?」
など、放課後を満喫する予定の声が聞こえてくる。
でも、私には・・・
英語の再試が待ち受けている。
昨日のうちに、分からないところは消化したつもりだけど、本番が近くなると胸がドキドキする。
誰もいない教室に、ただ1人。
カラカラと言う音を立てて、英語の田邉先生が教室に来た。
「準備ができたら言ってね」
「はい」
教えてもらったことを思い出しながら、大きく1回だけ深呼吸をした。
「お願いします」
**********
ペンが、紙の上を走る音。
今までは、問題なくサラサラと流れている。
「なんだ、首藤さん満点じゃない」
田邉先生は、赤ペンにキャップをしながら言った。
見てみると、返された答案用紙には、丸しかなくて。
とても清々しい感じがした。
「お疲れ様。もう帰っていいわよ」
「ありがとうございました」
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