Page.1*日課

20/20
前へ
/58ページ
次へ
「はーい」 先生が教室から出ていくと、ホッとして胸をなでおろす。 試験は無事に終わったのに、なんでだろう、また胸がドキドキしてきた。 興奮と、嬉しい気持ちが混ざりあっているのが分かる。 「奈緒」 「はい」 ん? この教室、誰かいたっけ? 再試を受けたのは私だけのはずなのに。 「は、春輝なの?」 「知らなーい」 知らないって言うのが一番怪しい。 それに、教室の前方に大きな影が見えてる。 「そこにいるの分かってるんですけどー?」 「その様子だと、無事にパスできたみたいだね」 教室に入って来た春輝は、嬉しそうに笑っていた。 「満点だったんだよ!」 「良かった良かった」 とは言っても、中学の範囲なんだから、これくらい当たり前なんだよね。 逆に、取れない方が、なんで? って感じ。 こういうの、私の悪い癖だな。 なんで、もっと前向きに捉えられないんだろう。 変なトコでネガティブになってしまう。 「奈緒? 帰るよ」 「うん」 決めた。変えるんだ。 今の、この私を変えよう。 「はーるき、帰ろ!」 「さっきから言ってんだけど...」 待ってろ、未来の私。 きっと、成長してみせる。
/58ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加