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「はーい」
先生が教室から出ていくと、ホッとして胸をなでおろす。
試験は無事に終わったのに、なんでだろう、また胸がドキドキしてきた。
興奮と、嬉しい気持ちが混ざりあっているのが分かる。
「奈緒」
「はい」
ん? この教室、誰かいたっけ?
再試を受けたのは私だけのはずなのに。
「は、春輝なの?」
「知らなーい」
知らないって言うのが一番怪しい。
それに、教室の前方に大きな影が見えてる。
「そこにいるの分かってるんですけどー?」
「その様子だと、無事にパスできたみたいだね」
教室に入って来た春輝は、嬉しそうに笑っていた。
「満点だったんだよ!」
「良かった良かった」
とは言っても、中学の範囲なんだから、これくらい当たり前なんだよね。
逆に、取れない方が、なんで? って感じ。
こういうの、私の悪い癖だな。
なんで、もっと前向きに捉えられないんだろう。
変なトコでネガティブになってしまう。
「奈緒? 帰るよ」
「うん」
決めた。変えるんだ。
今の、この私を変えよう。
「はーるき、帰ろ!」
「さっきから言ってんだけど...」
待ってろ、未来の私。
きっと、成長してみせる。
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