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・・・はずだった。
あれ? 寝てる?
その時ちょうど、ばっちり先生と目が合った。
私を見ているかと思えば、その視線はゆっくりと春輝へと移っていく。
「春輝! 春輝!」
腕をつつくと、ハッとしたように起き上がった。
『自分だって人のこと言えないくせに』
さっきの続きに、そう書き足した。
すると、私のノートにも黒文字が書き出されていく。
『ありがと』
私は、思わず横を見た。
ありがと、なんて言っちゃって。
少しは可愛いところが残ってる。
「はい、今日はここまで」
あれ? もう、終わったの?
てことは私、授業の半分以上を睡眠時間に費やしちゃったんだ!
**********
授業後は、幸い、先生には呼び止められずに済んだので一安心。
今は、電車を降りて家まで歩いている。
「・・・」
「...」
喋ってないと、なんだか落ち着かないな。
でも、これといった話題もないし。
春輝も、何も喋らないなんて珍しい。
「ねえ、春輝」
「うん?」
「私のこと、どう思ってる?」
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