Page.2 *きっかけ

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私、バカじゃないの!? 沈黙を破ろうとした言葉が、なんでそんなのになるの・・・ 「な、なーんちゃ・・・」 「好きだよ」 「...って...」 撤回しようとしたのに、小声で言った春輝の言葉が聞こえちゃった。 だけど、どうせ根拠なんてない。 からかってるに決まってる。 けれど、春輝は続けた。 「俺は好きだけど」 「!」 「物の扱いが丁寧なトコとか、挨拶をちゃんとするトコとか、元気が良いトコとか。いろいろあるじゃん」 なんで、こんな時だけ真面目に答えるの。 そんなの、そんなの・・・ 「奈緒? なんで、泣いてるんだよ・・・」 泣いてる? なんで? 地面を見ると、何か所か濃いグレーになっているところがあった。 「ごめん・・・」 私は、立ち止まったままの春輝を置いて家まで走った。 爽やかだけど少し甘めの、その匂いから逃げてきた。 勘違いをしてしまった。 一瞬だけ、「好き」に気持ちを奪われそうになった。 全身が熱気に包まれているように、熱い。 私、熱でもあるのかな。 嘘をつき続けるのには限界があることを、たった今思い知らされた。 なんだ、私は・・・ 春輝のことが、好きだったのか・・・
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