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自分でも気付かないうちに、その気持ちが募って、勝手に溢れ出した。
私は、どうしようもないバカだな。
呆れちゃう。
今更気付いたところで、明日からどう接していいのか分からないし。
「あーあ・・・」
明日、春輝と普通に話せる自信がないや。
**********
「奈緒?」
「・・・」
「おーい」
「え? あ、なに?」
「おはよ」
私、どうやってここまで来たんだろ。
自分の足で歩いたんだっけ。
今日は、春輝のとこに行かなかったんだっけ。
「おはよ・・・」
今すぐにでも、ここから居なくなってしまいたい。
誰にも会いたくない。
どうしようもない表情をした顔を、人に見られたくない。
「ねぇ」
「え・・・」
「なんで俺と目合わそうとしないの?」
下を向きながら春輝の方を見ようとした時。
ぐいっと腰を屈めた(かがめた)春輝は、下から覗き込むように私を見ていた。
どうしよう・・・
見つめられると、どうしても泣きそうになる。
・・・やだ、見ないで。
「ねぇ、なんで?」
そう言った春輝は、私の頬を大きな両手で包み込んだ。
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