Page.2 *きっかけ

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「・・・っ」 半ば強制的に春輝の方を向かされた私。 その春輝の、柔らかく、どこか安心感を感じさせる瞳に吸い込まれそうで、自分が怖くなった。 でも、春輝はそんな私のリアクションを見て楽しむだけ。 こんなにもひどく混乱させているのに、本人には自覚がない。 だいだい、高校生にもなって普通こんなことする? 抵抗はないわけ? いくら幼なじみだと言っても、それ以上でもそれ以下の関係はないわけで。 ・・・それでも・・・・・・ 春輝に触れられていることが、すごく嬉しい。 やめてほしいって思ってたのに・・・ 完全に矛盾してる。 体温を近くに感じられて、また訳も分からないまま泣いてしまいそうになる。 喉の奥が、きゅーっとなって苦しい。 言いたいことがたくさんあるのに、最後の最後で詰まって出てこようとしない。 「なんでもないから」 「ふーん」 「・・・」 「なら良いけど」 意味分かんない。 自分からあんな事しておいて、返答がそれだけ? 私、今、春輝に対してすごく怒ってる。 こんなにイライラしたの、初めてだ。
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