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「奈緒バイバイ」
「またねー」
遂に来ました。放課後。
心なしか、さっきからそわそわして変な感じ。
冷静に。冷静に。平常心。平常心。
「じゃあ奈緒、頼むね」
「何を?」
「これ」
そう言うと、春輝は大量のプリントと二つのホッチキスを差し出した。
ん?これは、何かな?
期待した私がバカだった。
だいたい、春輝が私にそんな事を言うはずがない。
結局は、頼まれた雑用を手伝えってことか。
「手伝って?」
「アイス」
「あいす?」
「後で」
「はいはい」
でも、これって春輝と一緒にいられるってことだ。
ちょっと、ていうかだいぶん嬉しいかも。
春輝は、私の好きな人なのか。
春輝は、好きな人はいないのかな。
「春輝は好きな人とかいないの?」
「さあ、どうかな」
「真面目に聞いてるんですけど?」
「いるよ」
「え?」
「好きな人、いるよ」
そっか。・・・そっか。
春輝も、大人になっていくんだ。
好きな人聞いたの、失敗だったかも。
ちょっと、今泣いてしまいそう。
「奈緒?」
「その人ってさ、どんな人?かわいい人?綺麗な人?それとも・・・」
「もう止めよ」
「え?」
「ごめん、やっぱ一人でやるわ。先生が資料作りとか言うから、もっと多いのかと思ったけど、意外と少なかったから」
ほら、やっぱり。
話すこと、間違えちゃった。
「うん、わかった。先に帰るね」
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