Page.3 *恋する気持ち

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・・・あ、この匂い・・・ 誰かの匂いに似てる。良い匂い。 爽やかだけど、少しだけ、甘い。 「・・・奈緒、奈緒」 頭が揺れているのは、私の体が右側から揺さぶられているからだと分かった。 あれ、この声・・・ さっき、聞いたような・・・ 「春輝・・・?」 「おはよ」 おはよ? なぜ、今? 「私、寝てた?」 ハッとした。 「パンツ見えてた」 「え!?」 「あははははっ」 「もー! からかわないの!」 右手で作ったグーは、弱々しく春輝の胸へ飛び込んだ。 「ごめんごめん」 いつもと変わらないようでいて、でもどこか気まずそうな笑顔を向けた春輝は、いつもに増して優しかった。 「アイス・・・」 「いいよ」 「アイスくれたら、許す・・・」 「お安い御用」 それから、春輝のおごりでアイスを食べ、またこの駅に戻ってきた。 少しだけラッシュは収まっていて、電車に乗るにはちょうどいい時間帯。 「ねえ、あの・・・」 「ん?」 「さっきの、さ・・・好きな人がいるっていうのはさ・・・・・・」 やっぱり、気になる。 聞いたら自分が傷つくかもしれないのは、百も承知。 分かってるけど、怖いけど。自分で聞きたい。 「奈緒には言えない」 「・・・  そ、そうだよね!自分の好きな人なんて知られたら、恥ずかしいよね・・・」 知ったら知ったで、衝撃が大きいんだろうけど、「言えない」って言われちゃったら、もう何も聞けないんだよね。
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