Page.1*日課

6/20
前へ
/58ページ
次へ
少し乱れた制服を整えながら、至って普通に呼吸をしている。 ゼーゼー言いながら、肩で呼吸をしている私とは大違い。 <ガタンゴトン、ガタンゴトン・・・> 「もー、足速すぎ」 呼吸を整えてから、すでに座席に腰掛けている春輝に口を尖らせた。 「でも、間に合ったじゃん」 と、私の顔も見ずに即答。 いやまぁ、そうなんですがね・・・ 何度もコケそうになった、こっちの身にもなって欲しい。 ―――――と思っていた時、一つの機械的な声が耳に触れた。 「お客様に申し上げます」 お客様って、二人しかいないんだけど。 心の中で、アナウンスにツッコミを入れる。 「駆け込み乗車は、大変危険ですので、お止め下さい・・・」 私は、左隣の男の子を見る。 彼も、右隣の女の子を見る。 「これって・・・」 私が口を割る。 「俺たち、だよな?」 続いて、彼も。 「「あはははは・・・」」 車内に、二人だけとは思えない、大きな笑い声が響いていた。
/58ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加