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少し乱れた制服を整えながら、至って普通に呼吸をしている。
ゼーゼー言いながら、肩で呼吸をしている私とは大違い。
<ガタンゴトン、ガタンゴトン・・・>
「もー、足速すぎ」
呼吸を整えてから、すでに座席に腰掛けている春輝に口を尖らせた。
「でも、間に合ったじゃん」
と、私の顔も見ずに即答。
いやまぁ、そうなんですがね・・・
何度もコケそうになった、こっちの身にもなって欲しい。
―――――と思っていた時、一つの機械的な声が耳に触れた。
「お客様に申し上げます」
お客様って、二人しかいないんだけど。
心の中で、アナウンスにツッコミを入れる。
「駆け込み乗車は、大変危険ですので、お止め下さい・・・」
私は、左隣の男の子を見る。
彼も、右隣の女の子を見る。
「これって・・・」
私が口を割る。
「俺たち、だよな?」
続いて、彼も。
「「あはははは・・・」」
車内に、二人だけとは思えない、大きな笑い声が響いていた。
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