Page.1*日課

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新入生だけあって来るのが早く、教室の席は既に半分以上が埋まっていた。 少し大きめで真新しい制服に身を包んだクラスメートたちは、隣近所の子と遠慮気味に話をしている。 そんな中、バッグをおろして準備をしていると、後ろから肩をトントンされた。 「世良優梨愛(せら ゆりあ)です。これからよろしくね」 私が振り向くと、彼女は簡単な自己紹介をした。 そして、花が咲いたように微笑んだ。 うわ~、綺麗、可愛い~・・・ 通った鼻筋、くるんとした大きな瞳(め)、長い睫毛(まつげ)、色白ですべすべの肌。 全てが均等に整った彼女は、まじまじと眺めている私を見ながら小首を傾げていた。 「あの・・・」 「あ、えと・・・、首藤奈緒です」 「これからよろしくね、奈緒ちゃん!」 どうやら私は、完全に彼女に見惚れていたらしい。 気づいたら自己紹介は終わっていて、彼女は私のことを『奈緒ちゃん』と呼んでいた。 「よ、よろしくね、優梨愛ちゃん」 名前を呼ぶのがなんとなく照れくさく、少し声が震えた。 「ていうか、優梨愛ちゃんて可愛いね!」 「私なんか全然だよ!」 それを打ち消そうとしたつもりだったのに、謙遜させてしまい・・・ 「奈緒ちゃんの方が可愛いよ」 ついには、気まで遣わせてしまった。 「え?いや~、そうかな~」 「奈緒がかわいい?」 「え?」 急に横入りしてきた男子の声に、優梨愛ちゃんは喋るのをやめた。 きっと知らない人だったからかな。 私は分かったけれども。 私の事を名前で呼ぶ時点で、その存在はただ一人。
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