第2章:俺の殴りたい田中は結局この中にいなかった件について

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微かに音が聞こえる。 その音は何処の家にもついているチャイムの音。 高い音が主流だが低い音もあるらしい。 俺の家(アパート)は前者のチャイムだ。 ピンポーン…。 部屋にチャイムの音が響く。 ついでに、鈍痛する頭にもポーンと響いた。 それによって今まで浅い眠りに落ちていた俺は少しずつ 覚醒をしていく。 その間にもチャイムが連続で鳴り続ける。 …………ピンポンダッシュか? でも、何回も鳴らすってことは痛電ならぬ痛ピンか? ………語感わりいな。 俺は今だ鳴り続けるチャイムを横に、 玄関へと体を引きずる。 「うるせぇ……」 てか、めっちゃ頭に響くんですけど。 しかも、寝る前よりさらにダルイのが酷くなっている のは俺の気のせい? 俺を苦しめる元凶を一目見るため、 勢いよくドアを開けた。 元凶はドアが開くと思わなかったらしく 思いっきり音を発ててぶつかった。 「…っ…うっ……」 ドア越しに外を見たらイケメンがしゃがみ込み、 呻いていた。 ………あっ、千歳… 「うわー。今すっごい音したね。大丈夫?青柳君」 と謎のイケメン。 「……何方デスカ?」
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