第2章:俺の殴りたい田中は結局この中にいなかった件について

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お茶を入れ終わって、盆に載せて戻ると… イケメンが素知らぬ顔で俺のケータイをいじっていた。 ………。 まあ、いっか。 見られても困るようなもんないし。 「うわー…田中君のケータイなーんもなーい。 つまんないね」 あ、前言撤回。 人の口から聞くとムカつく。あと虚しくなってきた。 「人の勝手に見ないでください。 プライバシーの侵害ですよ」 「えーいいじゃん、見たって。 それにデータなーんもないし。メアド件数5つだし。 何気に敬語だね」 盆をとりあえずテーブルに置いた俺は、 寝っ転がっている千歳に怒りをぶつける。 男子高校生の体重平均に踏まれた哀れな千歳は ふぐっと潰れた声を漏らした。 「…地味に傷をえぐらないでほしいですね、うるさいです。 尊敬語なのは気にしないでください」 まったくもう。 メアドの数のなさを考えずに過ごしていたのに…。 何なんだ…この人は。 まあ、確かに件数が5つってのは 少ないと思うけど………んん? 5つ?今俺5つって言った? ?! あれ?俺のメアド3つしか無かったはずだが??! 「あ。僕のメアドとキャバク○のメアド入れといたよ。 これで少しは寂しいホルダーが賑やかになるね!」 爽やかな顔でしれっと物凄い事言われたような。 しかもうん?キャバク○?? 何でそんなもん俺のフォルダーに登録した??? あっ… 俺にやる相手がいないからなくなく処理をしてる その行為の気遣いか?哀れみか? 余計なお世話だ!!こんにゃろう!!! 悪いか!万年童貞で!! 女性経験が豊富?そうな千歳の腹に さらに足をめり込ませる。 何処かにきまったのか、さらに苦しそうにする千歳。 ほんとなら目の前で微笑む男もこんな風にしたいものだが あいにく俺の体は一つしかないので、 千歳の相手だけでいっぱいだ。 クソォ…イケメンマジ滅べ!!!
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