第2章:俺の殴りたい田中は結局この中にいなかった件について

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しばらく、俺は千歳を端整こめて踏んづけて、 快感を得ていたが…あることに気付く。 「…アンタ、何しに来たんですか? 俺とお友達になりに…来たわけでわないですよね?」 そうだ。そうだよ。 すっかり忘れていたけど。 この抜けているイケメンと一切面識ないし、 あったことも、話すきっかけも無いんだった。 なのにイケメンは、家にいる俺にわざわざ会いに来た。 見ず知らずの、ただ通っている学校が一緒の奴に。 きっと何かあるはずだ。 俺の思い違いでなけ 「えー?友達になりに来たんだよー田中君」 ハイ、思い違いでしたあぁーーー!! 恥ずかしいいい。 なにしおらしく推測してたんだろう、俺。 柄でもないのになんでシリアスな空気に持ってこうと したんだろう。 三分前にもどって自分をタコ殴りしたい。 床に転がって悶絶していると イケメンがクスリと笑った。 ……何だ? 体は床に寝かしたまま、顔だけ上にあげると 目の前にスラリと伸びた手があった。 ふん?? そのお綺麗な手にかぶりつけと? 「それで、僕と友達になってくれる?田中君」 ああ、そうゆことね。 かぶりつくんじゃないんだね。 てか、人の手かぶりついちゃただの変態じゃんw いかんいかん。 最近思考の行き先が可笑しい。 直さなきゃ。直し方知らないけど。 半幅、ヤケクソな思考回路を回しながら俺は 躊躇なくイケメンのその美しい手を握った。 え?そこは疑うべきだって? のんのんのん。 お友達少ない可哀そうな俺にわざわざ声かけてきた イケメン疑うなんてできないよ。 断ったらむしろ罰があたりそうで怖い。 「と、ゆうことで。よろしく」 俺がそう言うと、イケメンは微笑んで 手をギュッと握り返した。 ………。 あ、手汗拭くの忘れてた。 イケメンの手が俺色に染まっていくー。 イケメンの手がー。 イケメン…。 ………ここまで来てあれだけど、 俺、 このイケメンの名前知らんかったわ。 早急に名前を名のってほしい…。 そんな感じに手を握り合っている二人を なんじゃこりゃと、 複雑な気持ちで眺めている千歳であった。 「こいつら頭大丈夫か?…いや、もう手遅れか」
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