-ガイダンス-

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その日、世界中の人間が同じ夢を見た。 同じ…といっても、見た人によって捉え方も印象も様々であった。 ある人には、そこは砂漠であり、広野であり、街中、渓谷、遺跡、建造物、その国の名所、映画のワンシーン等等-- ただ、共通して言えたのは、何らかの災いが降りかかっていたことである。 最初の頃こそ、ただの夢--せいぜい警告夢の類い--と切り離されていたものの、やがて連続して夢の続きがあったような事を語る人物、死亡した人物と夢で知り合ったという地球の裏側と裏側でおよそ現実的には関連性がなし得ない人物、夢から抜け出せないまま植物状態に陥るものや最悪そのまま息絶える人物まで散見された。 大半は夢だからといって、半信半疑のまま他愛のない偶然で済ませていたが、精神世界に興味があり、夢そのものにも熱心なテーマを求める一部の研究者にとっては、格好の研究対象だ。 但し、この研究がやがて世界中を巻き込んだセンセーショナルな内容だと受け止めてとめて貰うまでは、もう少し時間が必要だった。
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