第1章

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--俺の名は、ホクト=ニシオギ。 元、R-探索団のリーダー、だ。 今は、訳あって単独行動をとっている。 --いや、本当は訳なんてない。 自らそう始向けて 、気がついたら、離れ離れになっただけだ。 そうさ、計画通りに--その結果--? ハハ。やっぱりお前らかよ、老! 結局、お前らの計画通りに進んでるって事か--良かった。 いや、良くない。 そもそも俺やあいつや仲間たちにとっては-- ああ!まただ!また繰り返しだ! 最近、自分でも何がやりたかったのか… 識らなくなる。何で俺はここにいるのか、こうして、さ迷っているのかさえも… もう、進んでいるのか、退いているのかも。俺は、何者なんだろうな--? --ここはあなたの夢のなか。どんな願いも叶える、居場所(ところ)-- --なんだ、ろうな。心地よい、音楽…。 ウタ? 気がつくと、目の前に巨大な朝顔--いや、ひょっとしたら蓄音機--か? --あなたの望みは何ですか?何でも叶えてあげますよ-- --望み?希望?そんなもの、もうとっくに無くしちまった。何を望んでも叶わない-- --そんなこと、云ってみないと識らないじゃない?謂ってご覧なさい-- 中心の花弁が震えるようにして、ウタを紡ぐ。ウタは心地よい香りを乗せ、音符の風船になってそよいだ。 --ああ!そうかよだったら言ってやる! 俺を此所から出してくれよ!! 暑苦しくて、息苦しくて、死にそうなんだ!出来るのか蓄音機さんよ?! --識りました。貴方を、出してあげましょう。-- --え…。本当に--本当に、出られ、る--? 音符の風船たちが、真っ白な光の粒となって舞い上り、ものすごいスピードで 渦を巻き一点に集められていく。 --さぁ、いらっしゃい。光の方へ。 --出て来て、私達と共に、戦ってください。 戦士ホクト、ホクト、ホクト!
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