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ー召喚ー
「お待ちしてました。ホクト=ニシオギ。」
落ち着いたトーンの男声色。チチ…という微かな音を立てて小さな炎が揺らいだ。
まだ目が景色を見るのに馴染めず、追いかけてきた眩い光は、その小さな白い柱の上に舞うようにして収まった。
「ホクト=ニシオギ。私達が識りますか?」
今度は、耳に心地よい綺麗な女声色。
まだ、周囲の識覚には至らない。
見えるのは、ゆらゆらとたちのぼる
陽炎のような影..?
しかも自分を取り囲もうとしている--?!
俺は、瞬時に危機感を覚えて囲みから逃げ出そうと身を翻す!
だが、見えない障害物に足を捕られ無様にも転んでしまった処を背中から押さえつけられ、恐怖からもう訳が識らずに泣き叫んだ--。
うわぁぁあぁぁあ!うわぁぁあぁぁあ!
「落ち着いて下さい!私は、貴方の味方です!敵ではありません!」
女声色はそう俺に訴えるが、駄目だ。
感情の制御が利かない、それに、、
今叫びまくっているコレは-- 声?俺の?
「大丈夫です。彼はまだ自分すら識らない、生まれたばかりの赤ん坊と一緒です。その内に泣きつかれてしまうでしょう。」
男声色が、女声色を気遣う。
「ホクト…。」
女声色が、ホクトを気遣う。
ホクト、ホクト、ホクトは、俺だ
「意識を集中して下さい、ホクト。」
「そうでなければ、貴方は又、もとある場所に引き戻されてしまいます。」
俺は、弱々しく、意識を集中してみる。
と--漸く、陽炎が人形を作り始めた。
作り始めた、のに--肝心の意識は、そこでブツリと、絶えた 。
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