第1章

7/9
前へ
/81ページ
次へ
--俺が再び、意識を取り戻すまでどれだけの時間を要したのだろうか? ぼんやりと瞼を持上げると、そこには 真っ白な太陽?の微笑みがあった。黄金色の光で俺の身体を包み込む。 暖かな感触が首筋に伝わった。 「お目覚めですか?ホクト…。」 ウタだ。あの時のウタの続き--? 頭の後ろに、音符の風船?ふわふわで ぷよぷよで、ツルツルで、いい香り… 「どうやら意識を保てたようですね。」 ギクリ! --どうやらそれは仏頂面の男声色。 驚いてそちらに意識を向けると、殆ど俺に背中を向けた形、やや大柄で体格の好い身体をした人物が、少し離れた地べたにあぐらをかいて座っていた。 頭がまんまるの布に被われている。 --まるで、テントの壁絵に張り付いた 満月みたいだなぁ… なんてことを考えたら、太陽が俺の真上でクスクスと笑った。 「筒抜けですよ、ホクト=ニシオギ。 貴方はまだ、この世界での身体に馴染んでいない。あまり不用意な意識(ハツゲン)は慎んだ方がいい。」 頬杖をついた側を尻目に、頭を風船のような布で巻いた褐色の男は意う。 「あんまりだわ。彼はまだ生まれたばかり、そういったのはアブドル、貴方でしょう?」 太陽が、振り向かない月に話しかけた。 --アブドル? 「あぁ、紹介が遅れたわね。彼は…」 「私が自分でします。その前に、ホクトを膝元から離していただけますか? クレイン様…」
/81ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加